トーンがモアレます
網点トーンは、モノクロ印刷でグレーを表現するためのものです。
印刷を前提にした表現方法のため、PCなどのモニタ上で網点を表示させると、見た目上モアレて見える場合がありますが、印刷すれば問題ないケースもございます。
制作した作品にモアレが出ていると感じた場合は、実際にモアレが発生する状況になっているのか、あくまで表示上モアレて見えているだけなのかを切り分ける必要があります。
モニタ上でモアレて見えるという場合は、開いているソフトウェアで表示倍率を100%にしてトーンの状態をご確認ください。
下図のように、倍率100%の際に綺麗に見えれば、低い倍率の際にモアレて見えていても印刷時の品質に問題ございません。
左:倍率が低い場合 右:倍率100%
倍率を100%にしてもモアレが出ている場合や、印刷した際にモアレが出る場合は、実際にモアレが発生している状況です。
下記についてご確認ください。
トーンの重ね貼り
トーンを重ね貼りする場合、トーン同士の線数と網点の角度が一致している必要があります。
線数や網点の角度はレイヤープロパティで確認できます。
線数が異なるトーン同士や、角度の異なるトーン同士を重ねると、下図のようにモアレが出た状態になりますので、レイヤープロパティで各数値を一致させてください。
左:60線のトーンと50線のトーンを重ねた場合
右:角度45のトーンと角度50のトーンを重ねた場合
網点部分の色
トーンの網点の色は、黒一色になっている必要があります。
網点の色がグレーになっていると、印刷後にモアレが発生するリスクがあります。
このケースは、モニタ上ではきれいに見えるため印刷前に発覚しづらいので、作品の制作段階でご留意ください。
印刷後にモアレが出たという場合は、該当箇所を拡大表示してトーンの色を確認し、グレーになっていたら黒色に戻して再度印刷をしてみてください。
上記のトラブルは、2値ではないツール(エアブラシなど)でトーンを削った場合などにも起きやすいです。
もし階調のあるブラシでトーンを削りたい場合は、レイヤープロパティでマスクの階調を[あり]にした上で、 効果範囲を必ず[マスクした画像]に設定して下さい。
[マスクした画像]にしておけば、網点のサイズで濃淡の表現がされるようになるので、網点の色は黒色のままとなり、モアレの心配はありません。
階調が[あり]でかつ効果範囲が[画像]になっていると、ブラシをかけた際にトーンの網点の色自体が薄まってグレーになってしまいます。
左:[マスクした画像]の場合 右:[画像]の場合
グレーと網点を重ねている場合
グレースケールと網点の混在原稿制作時に、グレー部分と網点を重ね合わせるとモアレのリスクがあります。
網点自体は黒になっているので一見問題なさそうですが、モノクロ印刷するとグレー部分は自動的に細かい網点になって出力されるため、網点同士が重なってモアレが出る場合があります。
完成した作品を拡大/縮小する場合
一般的に、トーンを貼った画像のサイズを変えるとモアレが発生すると言われていますが、CLIP STUDIO PAINTのトーン化機能は、内部的に網点の情報を持っており、拡大縮小時に適切に網点を変換しますので、モアレを起こさずに書き出し/印刷が可能です。
出力時にサイズを変える場合は、ダイアログの[拡大縮小時の処理]で[コミック向き]の設定にしてください。
※印刷の場合は、[ファイル]メニュー→[印刷設定]で、同様に[コミック向き]が選択できます。
[イラスト向き]にした場合は、内部的に画像を統合後に縮小をかけるため、トーンにアンチエイリアスがかかって、印刷時にモアレになる場合があります。
網点トーンが含まれた画像は、必ず[コミック向き]で出力してください。
左:[コミック向き]で縮小 右:[イラスト向き]で縮小
なお、CLIP STUDIO PAINTからPSDや他の汎用形式で書き出した画像は、網点の内部情報が失われ画像として確定している状態になっているため、他のグラフィックソフトに読み込んで縮小処理などをするとモアレが起きる原因となります。
印刷において、プリンタ側の機能で縮小処理をかけた場合も、同様にモアレになる可能性があります。
画像を縮小したい場合は、必ずCLIP STUDIO PAINTからの出力の段階で縮小をかけてください。
網点トーンを使った作品をWebに上げる場合
網点トーンは本来印刷物に使用するものなので、Webサイト等に画像をアップするとモアレが出るケースが多いです。
Webサイト用の画像は、作品自体をグレースケールで制作する方がきれいに表示されます。
書き出し時のダイアログで表現色を[グレースケール]にし、[色の詳細設定]で[レイヤーに付与されたトーン効果を有効にする]のチェックを外すと、グレースケールで出力が出来ます。
※もともと網点トーンを使わずにグレーで塗っていた場合は、チェックが入っていても大丈夫です。
Web用の画像に網点のトーンをどうしても使用したい場合、なるべくWebにアップする際のサイズと同じピクセル数のキャンバスで制作し、トーンは網が細かくなり過ぎないよう線数を調整しながら制作してください。
また、出力後の画像を必ず確認し、倍率100%で見た際にモアレが出ていないかチェックをし、荒れているようであれば元画像のトーン線数や書き出し設定を色々変えてみて下さい。
【例】
下図は幅300px 高さ260px 72dpiで作成し、トーン線数を20~30程にしています。
線画はモニタ上で荒れないようにアンチエイリアスがかかっているので、書き出し時の設定で表現色は[グレースケール]にして、トーン効果を有効な状態で、等倍で出力しています。
上記に留意して作成した場合も、Webサイトへのアップロード時に画像に縮小がかかると、トーン部分がモアレになる場合があります。
その場合はアップロード先のWebサイトの、画像のピクセル数の上限を確認し、CLIP STUDIO PAINTからの書き出し時にあらかじめ縮小をすればモアレが抑えられます。
※縮小率が大きいと、網が細かくなりすぎてきれいに見えない場合があります。
※トーンが荒れないように、拡大縮小時の処理は[コミック向き]にするのが望ましいですが、縮小率によっては[イラスト向き]でも比較的綺麗に出る場合もあります。